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カズ・ヒロさんは日本の文化が「嫌」になっただけじゃない【才能を生かすためにアメリカ国籍になった】

アカデミー賞受賞式でカズ・ヒロさんが、国籍を変えた理由として日本の文化が嫌になったと話したとのニュースが多いですが、実際は日本の文化が「too submissive」で疲れたと言ってます。服従的や従順といった意味ですが、個性を軽視する日本の傾向を批判しており、この大事な指摘こそ報道すべきです。

maromisoさんのツイートより引用

maromisoさんのツイートでカズ・ヒロさん(以下敬称略)について気になったので自分なりに調べて考察してみました。

調べてみようと思ったきっかけは、実は映画やアカデミー賞について詳しくないのですが、maromisoさんが訴える「報道の在り方」に共感を覚えたからです。

あと、カズ・ヒロの「too submissive」の意味もとても気になりました。

そのため、私もカズ・ヒロについて調べれば、maromisoさんの真意が更に見えてくるはずと思い、情報共有の意味も込めて今回の記事を書きました。

カズ・ヒロは自分の才能を生かすためにアメリカに帰化したメイクアップアーティスト

元の名前は辻一弘(つじかずひろ)で、日本生まれの日本人だったそうです。

2019年3月に米国に帰化し、それからカズ・ヒロに改名なさったようです。

米国に帰化してカズ・ヒロに改名した理由は、「個人のアイデンティティの確立」のためだそうで。

「日本人は、日本人ということにこだわりすぎて、個人のアイデンティティが確立していないと思うんですよ。だからなかなか進歩しない。そこから抜け出せない。一番大事なのは、個人としてどんな存在なのか、何をやっているのかということ。その理由もあって、日本国籍を捨てるのがいいかなと思ったんですよね。(自分が)やりたいことがあるなら、それをやる上で何かに拘束される理由はないんですよ。その意味でも、切り離すというか。そういう理由です」。

カズ・ヒロ氏、またもやオスカー候補入り。国籍と名前を変えた心境を聞く by猿渡由紀  | L.A.在住映画ジャーナリスト より引用

もとよりカズ・ヒロは高校時代より突出した芸術的センスを持っており、要約すると、「日本のナショナリズム(同調圧力)に疑問を感じて、このまま日本に居れば自分のセンスは生かせないと思い日本国籍から抜けた」というようなことを語っています。

「日本の教育と社会が、古い考えをなくならせないようになっているんですよね。それに、日本人は集団意識が強いじゃないですか。その中で当てはまるように生きていっているので、古い考えにコントロールされていて、それを取り外せないんですよ。歳を取った人の頑固な考えとか、全部引き継いでいて、そこを完全に変えないと、どんどんダメになってしまう。人に対する優しさや労りとかは、もちろん、あるんですけど、周囲の目を気にして、その理由で行動する人が多いことが問題。自分が大事だと思うことのために、自分でどんどん進んでいく人がいないと。そこを変えないと、100%ころっと変わるのは、難しいと思います」。

カズ・ヒロ氏、またもやオスカー候補入り。国籍と名前を変えた心境を聞く by猿渡由紀  | L.A.在住映画ジャーナリスト より引用

それで、「too submissive」を日本語に訳すと、「従順すぎる、人の言いなりになりすぎる」という意味が込められているそうです。

英語を主観的に意訳しすぎな日本の報道機関

maromisoさんは、カズ・ヒロが「日本の文化が嫌になったから(だから私は日本を出て米国に帰化したんです)」と解釈ができる報道を多くの機関がしていたことに今回の問題がある、とおっしゃっています。

実際に、様々なメディアでカズ・ヒロが「日本の文化が嫌に……」と報道されています。以下、例を挙げます。

一番の問題は、報道機関が“”という言葉を選んだことです。

“嫌”とは、感情の言葉です。つまり、主観的で個人的な感想を意味します。

しかし、カズ・ヒロは「日本のナショナリズム(同調圧力)に馴染めなかったから日本を出て米国に帰化する道を選んだ」「日本にいると私の才能はダメになると判断したから米国に定住する道を選んだ」と自らの口で語っています。

「自分が何をやりたいのか、何をやるべきなのかを自覚して、誰に何を言われようと突き進むこと。日本は、威圧されているじゃないですか。社会でどう受け入れられているか、どう見られているか、全部周りの目なんですよね。そこから動けなくて、葛藤が起こって、精神疾患になってしまうんです。結局のところ、自分の人生なのであって、周りの人のために生きているんではないので。当てはまろう、じゃなくて、どう生きるかが大事なんですよ」。

カズ・ヒロ氏、またもやオスカー候補入り。国籍と名前を変えた心境を聞く by猿渡由紀  | L.A.在住映画ジャーナリスト より引用

つまり、「日本の文化が嫌になったから(日本を出て行った)」という感情論だけではなくて、本人の合理的・ビジネス的な判断のもと、日本から出て行き米国に帰化したことを意味します。

もちろんカズ・ヒロの判断と口にした言葉は、日本や日本人に対する痛烈な批判意識がある、と捉えられても仕方ないと思います。

同じ日本人から日本のナショナリズム批判を受けるのは辛いです。特に元・日本人からの言葉は響くものがありますよね。

しかし、それでも報道機関が“嫌”という感情的な言葉だけを用いたのはいかがなものだろうか、というのが今回のツイートの趣旨だと思います。

報道倫理規定には「真実や正確性の尊重」や「公平な報道」、他にも様々な倫理規定が盛り込まれています。

報道に際して“嫌”という感情的な言葉だけを取り上げて選ぶことは、やはり「真実や正確性の尊重」や「公平な報道」に反する表現と言わざるを得ないのも事実だと思います。

捉える人によっては、「情報操作(印象操作)をしている」と疑われても仕方ないでしょう。

報道には、本人から聞いた言葉を一字一句変えずにそのまま伝えなければならない使命があると思います。

カズ・ヒロの言葉を耳にして、カズ・ヒロを嫌悪する人もいれば、逆に好意を抱く人もいます。カズ・ヒロに様々な感想・感情を抱くのは個人の自由です。

しかし、「報道の自由」は「報道倫理規定」をおざなりに順守する自由までは認めていないと思います。報道の時点で「too submissiveで疲れた」を「嫌になった」と意訳してしまうのは主観が過ぎていると存じます。

「too submissiveで疲れた」=「従順すぎる、人の言いなりになりすぎる文化に疲れた」≠「嫌になった」 は日本人の誰の目から見ても明らかな関係です。誤解を招く意訳は避けるべきだったと言えるでしょう。

つまりmaromisoさんは、日本の報道機関は英語を主観的に意訳しすぎていること、報道倫理規定の順守をおざなりになりにしぎていることへ警鐘を鳴らしたく、本ツイートをしたのではないかと感じました。

日常でも行われている誤解【真意(含意)を読み取ろうとする】

私が新社会人になった時、会社の研修でホテルに新人全員の300名くらいを集めて、伝言ゲームを行った記憶があります。

300名以上も集まって行った伝言ゲームです、当たり前かもしれませんが、最初の1人目に伝えられた言葉の内容と最後の1人に伝えられた言葉の内容には大きな隔たりがあったのを今でもよく覚えています。

特に印象に残っているのが、最初の1人目には「○○さんは××がさんが苦手だ」と伝えられた短い言葉が、最後の一人には「○○さんは××がさんが嫌いだ」に変換されて届いたことです。

これを読んでいるあなたに是非考えてみてほしいのですが、あなたなら「苦手」と「嫌い」の関係性を以下3つのうちならどのように捉えますか?

  1. 「苦手」=「嫌い」
  2. 「苦手」≒「嫌い」
  3. 「苦手」≠「嫌い」

1.と思い浮かんだあなたは、「苦手」と相手から言われたら「ああ、この人は××が嫌いなんだな」と思う人ですね。

2.と考えたあなたは、「苦手」と相手から言われたら「この人は××を嫌いじゃないんだな」と捉える方ですね。

3.と素直に聞けたあなたは、「苦手」は「苦手」と額面通り把握する方ですね。

実はどれが正解ということはないのですが、強いて正しい答えを挙げるとすれば、やはり3.を選ぶのが正しい判断と私は思います。

日常生活では常にこのような誤解を起こしていることを自覚した方が良いでしょう。

真意(含意)の食い違いで誤解は生まれる

人には、相手から言葉を受け取った時、相手の真意(含意(がんい))を読み取ろうとする機能が無意識に働きます。(例外的にない方もいるかもしれませんが)

真意(含意)は、相手の表情や語気、態度や雰囲気、文化から読み取ろうとすることが多いです。

例えば、学内放送でいきなり「マイクテスト」とスピーカーから聞こえてきたとします。

この「マイクテスト」という言葉を耳にして、そのままの言葉の意味通り「ああ、マイクテストしているんだなぁ」と感じる人は少数です。実際は「このあとに何か重要な放送が流れるのかな?」と耳を立てる人が大半だと思います。

つまり、言葉を額面通り受け取る人は実は少なくて、大抵の人はその言葉の奥にある意味、真意(含意)を読み取ろうとします。

人は言葉本来の意味を主観や文化によって容易く、無意識に歪めてしまうことは日常でよくあります。

もっと有名な例で言えば「お美しいですね」という言葉もそうですね。

他人から「お美しいですね」と言われても、多くの人は「ああ、社交辞令(お世辞)ね」と感じ、額面通りに賛美を受け入れる方は少数でしょう。

この誤解の原因となる真意(含意)を読み取ろうとする機能は、報道にも無意識に刷り込まれているのかもしれません。

報道陣と言っても記者という人の集まりですから。故意なく無意識のうちの誤りは責められません。

しかし、誤解を発生させる原因を自覚して、誤解させないように額面通りの言葉遣いを意識的にしようとするのは大切な心がけと思います。

願わくは、誤解をこれ以上発生させないためにも、額面通りの言葉で意思疎通の取れる世の中になってくれれば嬉しいですね。

いちいち相手の顔色を窺って言葉の真意(含意)を読み取るなんて面倒くさいことは、誤解の原因にもなるし、お互いにとって良いことは何もありませんから。

推測ですが、カズ・ヒロはこういう真意(含意)を読み取るのが当たり前な日本のナショナリズムにも馴染めなかったので、米国へ帰化したのだと思いますよ。

アイキャッチ画像

アイキャッチ画像は親友の無忙庵さん(https://photopool.bts-works.com/)から許可を得て拝借しています。

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