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『十三機兵防衛圏』が好きなことと不満点【多少ネタバレ】

はじめに、私は『十三機兵防衛圏』が好きです。そして、ヴァニラウェアのファンです。具体的にはセガサターンの『プリンセスクラウン』から神谷氏の手掛けたゲームはずっとプレイし続けています。

あらかじめ注意事項を書いておきます。この記事は『十三機兵防衛圏』への愛を込めて書きました。大まかな感想としては、他の皆さんがブログなどで書かれている通り、ゲーム内容のほとんどを絶賛しています。ただし、表題の通り、この感想文では主に不満だった点を吐き出します。そのため、批判的な内容に対して「お前どの目線から意見言っているんだよ」と過剰に反応してしまう方には、この場でブラウザバックをお薦めします。言葉遣いや表現はできる限り選びました。ですが、言っている内容に変わりないのは事実です。気分を悪くさせるつもりはありません。ですが、読んでいて気が合わないなと感じた方は、すぐに読むのを止めていただければ幸いです。

また、感想には多少のネタバレが含みます。まだゲームをプレイしたことがない方が読んでもプレイに悪影響のない範囲ではありますが、気にする方はコンプリートなさってからお読みいただけるとよいかと存じます。

『十三機兵防衛圏』を手に取った経緯

当初、『十三機兵防衛圏』を買う予定はなかった。と言うのも、私自身、既にロボットものには疲れてしまっていたからだ。正直、ここ最近のロボットもので「あたり」に触れたためしがない。幼い時は『機動戦士ガンダム』シリーズや『機動戦艦ナデシコ』、『装甲騎兵ボトムズ』などが大好きでよく観ていた。しかし、2000年に入ってロボットものは徐々に下火になり、ガンダムシリーズ以外はすっかり見当たらなくなってしまった。今では周りにいる十代・二十代の子たちと話すと、「ロボット」「機械」という単語が出てくるだけで拒絶反応を示し絶対に触れないと言われた(当然、例外の子たちも多くいることはわかる)。そんな状態が続き、私自身の心が、ロボットから離れて久しくなっていた。

そんなある日、『十三機兵防衛圏』を知る機会があった。それは『新サクラ大戦』の先行体験版をプレイしに札幌のアニメイトへと向かった日だった。

この日は『新サクラ大戦』のみならず、『ペルソナ5ザ・ロイヤル』と『十三機兵防衛圏』の体験版も同じ会場内限定で先行公開していた。そこで私はヴァニラの新作である『十三機兵防衛圏』を知った。

「へぇー、今度のヴァニラの新作はロボットものなのか」

当時の私の感想はそんな感じで、正直見向きもしなかった。会場の空気もそんな感じだった。事実、皆さんの目的は『新サクラ大戦』で、『新サクラ大戦』のプレイ台の前には待機の列が出来ていた。対して、『ペルソナ5ザ・ロイヤル』と『十三機兵防衛圏』は人の集まりが悪かった。特に『十三機兵防衛圏』は台余りが酷くて、会場のスタッフが『新サクラ大戦』待ちの人に「待ち時間の間だけでも触れてみませんか?」と声を掛けていたのを今でも覚えている。当時の『十三機兵防衛圏』への期待値はそのようなものだった。

しかし、私の中でそれは覆る。そのきっかけとなったのは、日本トップ4であり有名ゲーム実況者であるガッチマンさん(以下敬称略)の影響だった。

私はガッチマンの大ファンだ。そのため、ガッチマンの「『十三機兵防衛圏 体験版』実況生放送」を観ていた。それで『十三機兵防衛圏』に対する印象がガラリと変わった。

『十三機兵防衛圏 体験版』でプレイできる範囲は、主にアドベンチャーパート(追想編)だ。そのため、これだけではロボットものという印象は薄い。アドベンチャーパート(追想編)だけだと、ジュブナイルSFと言った印象が強いのが『十三機兵防衛圏』の特徴だ。そのため、私はそこに惹かれた。

もとより私はSFものが大好きだ。特に、ジュブナイルSFはもう絶滅したものだと思っていたから、それがなおさら私の琴線に触れた。

それに加えて、ヴァニラが誇る繊細なタッチで描かれた少年少女の物語である。

「これは、買いかもな」

ガッチマンの放送を観終えた頃には、私は既にそんなつぶやきすら漏らすほどの気持ちにさせられていた。

そして実際に発売日に買って、私は4日でコンプリートした。それほど熱中してプレイさせていただいた。

シナリオ(追想編)の感想

結論から言えば、『十三機兵防衛圏』はジュブナイルSFの皮を被ったおじさんの感傷物語だった。

私はそこに酷く落ち込んだし、裏切られた気持ちにさせられたし、私もおじさんだから共感した。とても複雑な感情を抱き、しばらく何とも言えない気持ちになった。

言えば、このゲームの核は、エピローグ最初に出てくる井田鉄也と因幡深雪がお互いに「愛している」と確認し合う場面にすべてが集約されている。

因幡深雪とは、言ってしまえば『メガゾーン23』の時祭イヴ的な存在なのだけれど、井田鉄也は因幡深雪とまた一緒になるためにずっとシナリオの裏で様々な手を引いていた。そして井田鉄也は、要は懐古主義者の塊のような存在だ。つまり、あとは皆まで言わなくてもわかってくれると思う。

私はジュブナイルSFを求めていた。鞍部十郎や薬師寺恵たちがキラキラ輝いて、機兵に搭乗してダイモスたちを倒し、輝かしい未来を掴み取る物語。ただそれは、この井田鉄也のワンシーンで全てが裏切られた気持ちにさせられた。私には蛇足に思えて仕方なかった。

大人たちも昔は少年少女だった。しかしそのメッセージは、おじさんにしか届かない。もし『十三機兵防衛圏』がジュブナイルSFならば、そのメッセージは不要だろう。少年少女たちはこれからその経験を積んでいく。

これは一体誰をターゲットとした物語だったのだろうか?

メタ的なことを考えるのは無粋だし好きじゃない。でも、これは考えざるを得なかった。もし元から三十代から四十代をターゲットとした物語ならば、このエピローグ構成に納得できる。しかし、物語は明らかに高校生のティーンエイジャーたちが中心となって進むのだ。主人公はおじさんの井田鉄也じゃない。

じゃあ、この物語は一体何なのだろうか。しばらく混乱していた。

そのとき、ファミ通.comの神谷氏インタビュー記事を発見する。

そこで私は確信した。「ああ、やっぱりおじさんの感傷物語だったのね」と。

バトルパート(崩壊編)について

はっきり言ってただの作業ゲー。途中で苦痛になり、挫折しそうになったけれど、シナリオをちゃんと最後まで見届けたくて何とか頑張ってクリアした。

クオリティは高いと思う。けれど、作業ゲーになってしまった原因はいくつかあると考えられる。考えられる要因を下に箇条書きした。

  • 機兵がカッコ悪い
  • 機兵に変化がない
  • ダイモスに変化がない
  • システムバランスが悪い
  • 世界観と設定に魂を縛られすぎた

以下詳しく書いていきます。

機兵がカッコ悪い

「いやこれ完全に主観でしょう」と言われればそうですが、違うと言っときます。私のセンスでは無骨な機兵のデザイン、大好きです。ダサカッコイイというかいぶし銀がきいているというか。『装甲騎兵ボトムズ』の「アーマードトルーパー(スコープドッグ)」に通じるところがあっていいよね。←ここは解釈の違いがあっていいと思います。

ただ、この無骨な機兵にキラキラした鞍部十郎たちを搭乗させるのはいかがなものかなぁと。こういうデザインの機兵はそれこそ井田鉄也みたいなおじさんや『装甲騎兵ボトムズ』の主人公キリコ・キュービィーみたいな渋い十代が乗ってこそカッコよさが出るのであって、イケメンや美少女が乗るのは釣り合いが取れていないだろうという感覚が最後まで拭えなかった。特に私は、エピローグを観るまでずっと『十三機兵防衛圏』はジュブナイルSFだと思っていた。そのため、鞍部十郎や薬師寺恵たちがこの無骨な機兵に乗って戦うのは最後まで馴染めず、ずっと違和感を抱えたままで戦闘に熱を感じられなかったです。

いや確かに、そのアンバランスさがいいと言う人たちもいることは認めるけれどね。三浦慶太郎と比治山隆俊と緒方稔二は無骨な機兵がよく似合っていたと思うよ!

機兵に変化がない

バトルパート(崩壊編)は、チュートリアルである「終焉の始まり」を含めて最低でも38回こなさないとエンディングを迎えられない。正直な話、アドベンチャーパート(追想編)よりもプレイ時間は短いはずなのに、体感的に長く感じて辛い。それは、変化に乏しいバトル(作業)を延々とこなされるからだ。敬愛するガッチマンも同様のことをおっしゃっているので私だけの意見ではないはず。

機兵は最初から最後まで第一世代型から第四世代型の機兵を乗りこなして戦う。途中で第五世代型とか出てきたり鞍部十郎だけ特別な機兵を与えられたりすることはない。それが、本当に辛かった。

変化がないということは盛り上がりに欠けるということだ。確かに会話では「やべぇ、もう持たない!」とか「これ以上は無理よ」とか、そんな感じの危機感溢れる会話が飛び交うのだけれども。そこはやっぱり会話劇だけじゃなくてビジュアルでも魅せてほしかったなぁと。

全員に別々の機兵を与えてほしかったとは流石に言えない。けれども、やっぱりもっと差別化は欲しかった。

「ガンダム」や『機動戦艦ナデシコ』の「ブラックサレナ」程とまで言わなくても、バトルパートの途中で『超時空要塞マクロス』の「VF-1 バルキリー」や『機動警察パトレイバー』の「グリフォン」程のスタイリッシュな機兵が最終兵器として何台か出てきても良かったんじゃないかと思ってしまう。そしたらプレイヤー側も「これならダイモスに勝てる!」って大はしゃぎして最後まで楽しくバトルパート(崩壊編)をこなせたのではないかと思うのだが。まぁ、ただのおじさんの戯言なので、軽く聞き流してくれると助かります。

ダイモスに変化がない

機兵に変化がないと同様にダイモスにもこれといって変化がない。いや、厳密には名前の後ろにEXと称した強さが上位互換で黄色く光っているダイモスが後半で出てくるのだけれど、見た目は変わらない。つまり、ビジュアル面で強さを主張する敵が不在なのだ。それがまた、バトルパート(崩壊編)を単調にさせている原因だと思われる。

例えば『ドラゴンボール』で言うと、フリーザセル魔人ブウが不在みたいな感じ。敵はずっと栽培マン(サイバイマン)とかヤムチャとかクリリンとかばかりで、後半にボスとして黄色く光る栽培マン(サイバイマン)EXとかヤムチャEXとかクリリンEXとかが出てくるイメージ。

機械怪獣としてダイモスのデザインは大好きだ。しかし、機兵型怪獣『グラディエーター』はいただけなかったと思う。正直、あまり強そうなデザインじゃなかった。

もし『グラディエーター』のデザインが、『魔装機神サイバスター』の「ネオ・グランゾン」みたいなデザインだったら、「やべぇ、俺たち、本当にダイモスに勝てるのか……」となってプレイヤー側も危機感を覚えて戦慄したと思うんだけれど。まぁ、これも戯言として聞き流してください。

システムバランスが悪い

第四世代型強すぎ問題。てか、シナリオを進めるだけなら、第四世代型の「フレアトーピード」と「インターセプタ―」投げていればいいだけ。第二世代型は完全にお荷物で使う必要性が感じられない。それがまたバトルパート(崩壊編)を物悲しくさせ、作業ゲーとさせた。

世界観と設定に魂が縛られすぎた

ダイモスとは、要は昔のゲームで、主人公たちはこのシミュレーションサバイバルゲーム「ダイモス D・E・I・M・O・S」上で機兵に搭乗してダイモスと戦っている設定。なんだけれども、「あまりにもこの設定に縛られすぎじゃないか?」と感じた。

ゲームプログラム上の出来事だから、そもそも敵の種類が限られているし、こちらも操れる機兵は開発された第四世代型までと限られている。でもあれ? 426(和泉十郎)さん、ダイモスに対抗するために機兵強化ができるナノマシンというチートシステムを皆さんに埋め込んでいましたよね? てか、そもそもこの世界は虚構なんだから、別にもっと盛り上がる展開を入れ込んでも良かったのでは……。

要は何が言いたいかと言うと、もっと荒唐無稽でもよかったんじゃない? ってこと。

世界観と設定に縛られすぎて、シナリオ全体が バトルパート(崩壊編)込みで 予定調和な気がして、私はエピローグにあまり感動を覚えなかったんですよね。そのため最後の戦闘は本来ならばすごく盛り上がるところなんでしょうけれど、私的にはただただ冗長な気がして、すごく残念な気持ちになったのは今でも覚えています。

例えばバトルパートの途中で鞍部十郎とか関ケ原瑛とかが脱落しちゃうんだけれど、終盤で新しい機兵に乗ってみんなのピンチを救うように戦前復帰とかしてくれたら、シナリオがもっとドラマチックになって盛り上がったと思うんです。けれどこれもまた、おじさんの戯言ですかね。

総括

「ここまで揚げ足取りのように否定的なことばかり並べて、お前本当は『十三機兵防衛圏』好きじゃないんだろう」と言われるかもしれませんが、それは違うと断っておきます。

そもそも好きじゃないとコンプリートするまで40時間くらいかかるゲームを発売当日に買って4日で一気にクリアしませんし、ここまで長文の感想文を書こうと思いません!

ただ、このような感想文を書こうと思ったのは、他に感想を述べている方の記事内容を眺めると、ほとんど好意的な意見しか見当たらず、皆さんは本当にこのゲームで引っ掛かった点がないのだろうかと疑問に思ったからです。私は上記の通り、不満点がいくつかありました。しかしそれ以外はむしろ好意的で、他の皆さんが書かれている通り、ゲーム内容のほとんどを絶賛しています。今回書いた感想文はあくまで不満な部分を列挙したような感じになったので、否定的に取られてもおかしくないなと思いますが。それ以外は概ね皆さんと同じく絶賛の感想しかなったので、省略させていただいた次第です。つまり私は『十三機兵防衛圏』が好きです。

むしろ、ここまで何かを感じさせてくれた『十三機兵防衛圏』は凄いと思います。並大抵の作品であれば、「ふーん」とか「よかったんじゃない?」とかの小学生並みの感想で終わってしまうので、ここまで長文の感想文を書けることもありません。

凄く面白くて圧倒されたからこそ、長文の感想文を書いて皆さんにも広めたいと思ったし、感動して胸が熱くなったからこそ「ここは惜しかったなぁ」とつい語りたくなってしまった。許してください、私も面倒くさいオタクおじさんになったのです。

総括すると、『十三機兵防衛圏』はとても面白いゲームなので、この感想文を読んでくださった皆様にも是非手に取ってプレイしていただきたい。特に、十代と二十代の子たちに遊んでいただき、何かを感じ取っていただきたい! まずは無料の体験版をダウンロードしましょう。製品版にデータの引継ぎができるので、体験版からハマっても安心してプレイを続けられます。

しかし、機兵のデザインとかシナリオがSFという性質上の問題とかで、手放しで人には勧められない。そのため、この感想文ではある程度ハードルを設けて書いていきたいと思っていました。

SF好きの私は、達成率20%くらいでこのゲームはタイムパラドックスループもの、後は叙述トリック的なものを用いたオマージュ(リスペクト)作品だなと見抜けました。そのため、後は答え合わせのように達成率100%までプレイしていましたけれど、SFに馴染みがない人には素直に驚きの結末が待っているはずです。

この感想文を読んで『十三機兵防衛圏』をやってみたいと思ったあなたは、すぐにでも手に取るべきだと思う。クリアした後にきっと感動が待っているはずだから。何かしらの感情が心の奥深くに残り、プレイしたことに後悔させないことを約束します。

最後に

ここまで面倒くさいオタクおじさんの長文戯言に付き合っていただきましてありがとうございました。けれど、ここまで読んでくださったということは、あなたも私と同様のことをいくつか思っていたのではないですか? と問いかけてみたいです。

最後に『十三機兵防衛圏』という何物にもジャンル分けされない素敵なゲームを作ってくれたヴァニラウェアもとい神谷氏に「ありがとう」と申し上げたいです。

また、このゲームを世に出してくれたアトラスの英断に敬意を表したいです。

この感想文を書いた時点でセールス10万本突破したらしいですが、10万本ぐらいじゃ採算取れてないでしょうからね。これからも頑張ってほしいです。

私も、これからもヴァニラウェアの新作を買い続け、引き続き応援していきたいと存じます。

ここまでお読みくださってありがとうございました。

また何か語りたいゲームがあったら気ままに感想文を書いていきたいと思います。

では。